スタート直後
自分は、すぐ息が上がってしまうので、無理に周りに着いて行こうとは思わない・・・いつも。
しかし、今思えば、心臓が苦しくなるぐらい、大汗をかいてでも、必死に走ればよかった。
なぜなら、その後、全く進めず、風に吹かれながら ボーっ と立ち尽くしているしかない大渋滞が待っているのだから。
こんなとこで何やっているんだろう・・・第1関門に引っかかるのではないかと不安がよぎる。
一列に並び誰もしゃべらない・・・『・・・退屈だな・・・』 つい静寂に耐え切れず口から出てしまった。
すると自分のすぐ前の方(以後Dさん)が、「去年もこうでしたよ」と返してくれた。「こんなに進まなくて、関門 まにあいますかね?」「大丈夫、去年第1関門、6時間半で通過できましたよ」・・・私の通過予定タイムと一緒だ。「じゃぁ、この先走れるとこあるのかな・・・」
入山峠の階段は、壁伝いに順番待ちは長蛇の列。ここをこえると少しずつ歩けるようになった。
Dさんにくっついて、引っ張ってもらう。誰かをパスすると、自分もすかさずパス。
楽ちん、歩きやすい、Dさんの背中とシューズだけを見て進む。
だんだんDさんの走力が見えてくる。登りは良いが、下りは苦手なのかな。それでも引っ張ってもらうのは本当に助かる。
・・・連行峰までの登りの途中で、Dさんが急に右によけた『え?』
Dさんとの別れは突然だった。ずっと一緒に行けると思ったのに。ゼッケンも見なかったので、その後Dさんがどうなったのかわからない。・・・振り返らなかった。声もかけれなかった。ありがとう・・・
第1関門
浅間峠 22.66キロ地点
通過タイム : 5時間35分2秒 時計は、18時35分 無論 真っ暗。
浅間峠は、ヘッドランプの明かりの数で、50人以上の人は、休憩していたと思う。
第2関門までは休まないと決めていたので、前に進みたいが、ランナーが何処そこ構わず座り込んでいて、広いし、ライトが眩しかったりして、コースがわからなくなった。すると誘導員の方が、「コースを開けてくださーい」と声をかけてくださり、暗闇のなかに道が見えた。
進み出して気がついた、ここからストック使用可なんだ!ここでSINANOのポール登場!
調子がいい。どんどん前に追いつくようになると、後ろに誰もいない事が多くなる。前者をパスすると、前にヘッドランプの明かりさえ見えない事もある。やがて後ろも明かりが見えない。一人きりだ。だけどなんの不安も浮かばない。何か緊張感がないな。トレマンの鬼無里飯網や野辺山一人旅のようなアドベンチャ感がまるでない。
笛吹峠 7時間8分
西原峠 7時間57分
避難小屋 で
三頭山 9時間18分
第2関門
月夜見山 第2駐車場 42.09キロ地点
通過タイム : 10時間43分07秒
ここがゆいつのエイド。
2リットル背負ってきたハイドレの水は残量500ml程。
そこに水1リットルとポカリ500mlを入れてもらう。
この配分量、後に大変後悔することになる。
仮設トイレを使わせていただく。
ブルーシートが敷かれていて、沢山の人が休憩していた。
せっかく携帯を持ってきたので、ずくをだして写真を撮る。
休憩というほど立ち止まる事はなく、第2関門をあとにする。
眠気と吐き気
第2関門でおにぎりを食べようと決めていた事を思い出し、歩きながら梅おにぎりをかじる。海苔は胃が受け付けない事を野辺山で経験済みなので、剥がしてビニールで包んできた。本当に少しづつ飲み込んだ。どうか消化してくれ
緊張感がないのと睡眠不足と体力の消耗のせいだろうか、気がつくと歩きながら眠っている。上りになると脳が寝てしまう。夢もみるようになった。夢の内容も、歩いている
しまいには、下りながらも眠ってしまう。この眠気どうにかしてくれ〜
何となく、胃が働かなくなってきているのが分かっていながら、眠気ざましに、カフェインの入っているショッツのコーヒーフレバーを薬だと我慢して少しづつ飲み込む。
ハイドレから水分補給。飲むとポカリの味がかすかにする程度で、変にすっぱさを感じ、まるで胃液の味
不味い
こみ上げてきた・・・辛い・・・最低だ・・・
その後4回リバース・・・
あまりの辛さに目はさめそうだが、眠気は相変わらず襲ってきた。
第3関門
18時間ぎりの貯金は、第2第3区間であっという間に食いつぶしてしまった。
大岳山あたりで岩場悪路が続いた。そのおかげでやっとめがさめた。
このままだと19時間ぎりもやばい!現実にやっと気がついた。
御岳山 58.00キロ
通過タイム : 15時間57分18秒
でトイレ。洗面台の鏡で自分の顔を見た。
気持ちが切り替わった。ここからロングスパートだ!
まだ走れた。薄上りも走った。第2第3区間で寝ぼけていたあいだ中、体力は温存されていたんだ。
日の出山 16時間36分
通過時刻 5時36分 まだ暗い。
カメラを出す気力はなかったが、ここで見えた夜景は泣けた。
急な階段を慎重に下る。『よーしっ』と気合を入れたところで、「J保さんだよね!?」と呼び止められる。
まだ暗いし、全く誰なのか思い当たらなかった。近づいてみると
ツール ド 長野 の時、小布施から臥竜山までご一緒させてもらった、埼玉のH田さんだったのだ。「ゴールでまた!」と約束をした。
残り11キロを走る。
ロングスパートは、長かった・・・なかなか標高が下がらない。ここまで来て、かなりのランナーに猛スピードで抜かれた。悔しい。あのスピードが欲しい。でも頑張るしかないじゃん!あと少し!頑張れ!
残り5キロ! 後1キロ あぁ〜・・・ もう終わるんだ ・・・・
トレマンが手を降っている
「YUKIさんは?」「後20分ぐらい」 来てるんだなよかった。
最後の曲がり角、みんな声援してくれている
ありがとう・・・ありがと・・・口は動くけど、声になってなかった
ありがとう・・・本当に・・・ありがとう
タイム : 18時間19分48秒
完走率 : 79.9%
女子総合 : 106 位
来年、また 出場したいな。